誰でもない、あなたの心の声 ~えりか~

今日、美容室に行った。

担当の美容師さんは同じ年齢の男性。

気が付けば長年通い、古くからの友人のようで、行くとほっこりする。

その美容師さんが「この前、オヤジが亡くなったんですよ」と、寂しそうな声で言った。

私は言葉につまり、何を言えば良いのかと困惑してしまう。

とても大切なお父さんだったと、過去に聞いていた想い出がよみがえる。

大変でしたね

そう声をかけて、なんとなくその話は終わっていった。

その後ずっと考えていた。私はあの人の気持ちに自分の心を重ねようとした。

なのに、重ねられなかった。何も感じられなかった。

私には家族がいない。

死んで悲しめる家族がいない。

あの人のような気持ちを持つことが無いのだと、今日、初めて知った。

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